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水性・ゲルインクボールペンの種類と特徴

公開日: : 文具, 筆記具

前回のエントリーでは油性・水性・ゲルインクの特徴と、油性インクについて色々と述べました。
今回は水性とゲルインクボールペンについて詳しく書いてみたいと思います。 

水性ボールペンの特徴や種類

水性ボールペンのインクは大半が水に溶かした染料です。(一部、顔料インクのものもありますが)
油性インクと比べると紙に染み込みやすい特徴があり、透明感のある鮮やかな発色が持ち味です。
欠点としては質の悪い紙では滲んだり裏抜けしてしまうことや、耐水性が低い点が挙げられます。

余談ですが、水性ボールペンは英語ではrollerballになります。
輸入ブランドの水性ボールペンはローラーボールと表記されれていることが多いので覚えておきましょう。 

水性ボールペンは、芯の中にインクを保持する方式により中綿式と直液式に分類することができます。

中綿式ボールペン

中綿式の水性ボールペンは、芯の中に綿やスポンジ状の繊維が入っていて、そこにインクが染み込んでいます。
ペン先のチップには毛管現象により中綿からインクが供給されます。
水性ボールペンのインク保持方式としては古典的な手法です。
メリットは、比較的単純で安価に作れること、インク漏れの心配が少ないこと等です。
また、ボールペンとしては例外的に、ペン先を上に向けて書くことができます。
壁のに貼ったメモに直接書き込む際にはペン先が水平より上を向きますが、油性ボールペンやゲルインクボールペンで上向き筆記をすると芯に空気が入り込んでしまい、トラブルの原因になります。
中綿式ボールペンの場合はインクの供給に毛管現象を利用しているため重力の影響をあまり受けず、上向き筆記が可能です。

デメリットとして、インクの残量が一見してわからない点があります。
但し、インク切れが近づくと徐々に筆跡が掠れるようになりますので事前に予測は付きます。

この「徐々に」というのが曲者で、交換のタイミングに悩む原因にもなります。
多少掠れるとはいえまだ十分に書ける芯を捨てるのは忍びないと感じる人も少なくないようです。
サインペンも同じ問題がありますね。

直液式ボールペン

直液式ボールペンはその名の通り、芯の中に液体のインクを直接入れたものです。
インク漏れを起こさない高い密閉性、適量のインクをペン先のチップに安定して供給する構造、インクの減少に伴い空気を取り込む仕組など、中綿式と比べると構造が複雑で高度な技術が要求されます。
チップへのインク供給力が高いため鮮やかな筆跡になり、太字の字幅にすることも可能です。
透明なプラスチックの芯であればインク残量も一目瞭然です。

目立った欠点はありませんが、敢えて上げればインクの消費が激しいことでしょうか。

ちょっと変わった例では、万年筆のインクカートリッジをそのまま替芯として利用できる「インクローラー」と呼ばれるボールペンがあります。
分類上はこれも直液式水性ボールペンの一種と言えるでしょう。

ゲルインクボールペン

ゲルインクは「滲みやすい」という水性ボールペンの欠点を解消したインクです。
液体の水性インクにゲル化剤を添加し、半固体(ゲル)にした特殊なインクを使用します。
ゲルインクは芯の中ではゼリーやクリームのような柔らかな半固体ですが、引きの際にボールの回転による力が加わると瞬時に液体に変化し芯から引き出され、紙の表面に付着します。
紙に付着すると再度個体に戻り、表面に定着するため、滲んで広がったり深く染みこんで裏抜けしたりすることはありません。

また、染料ではなく顔料を用いることが容易になりました。
液体に顔料を混ぜると沈殿したり凝固したりする危険性がありますが、ゲルであれば顔料の微粒子を全体に均一に分散させて保持することができます。
顔料インクは耐水性・耐候性・耐光性共に高く、筆記具用のインクとしては非常に優秀です。
最近では顔料インクがゲルインクの主力となりつつあります。
一方で、透明感のある明るい色を出したい場合は染料インクの方が向いていますので、敢えて染料インクを使用した製品もあります。

良いこと尽くめのゲルインクですが、インクの消費が極端に激しいという欠点があります。
ゲルインクは色を出すための本来のインクに加えてゲル化剤を含むため、いわば水増しされて薄まった状態になっています。
そのため、 筆記の際には油性ボールペンや水性ボールペンに比べて大量のインクを消費する必要があり、結果としてインクのヘリが非常に早くなります。
欠点を補うために、単色のゲルインクボールペンでは太い芯に大量のインクが入れられていますが、多色ボールペン用の細い芯ではあっという間にインクが空になってしまいます。
4Cタイプと呼ばれる金属製の細くて短い芯の場合、ノート数ページ分しか書けないケースもあるようです。
ゲルインクボールペンをメインの筆記具として使う場合は予備や替芯を常備したほうが良いでしょう。

雑感

便利なゲルインクボールペンに押されて、最近は水性ボールペンの製品は少なくなりましたが、水性ボールペンには、瑞々しく鮮やかな筆跡や金属チップと紙が擦れる特有の筆記感触など、ゲルインクボールペンとは違った魅力もあります。
シビアな用途でなければ、敢えて多少使い辛い水性ボールペンを選ぶのも一興かと思います。 

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